「ビジネスクラスに無料でアップグレードされる」――そんな夢のような出来事が、実は“運”だけではなく、ある種の条件と行動によって起きているとしたら?
「インボラ(インボランタリー・アップグレード)」と呼ばれるこの現象は、航空会社の座席管理やシステム上の調整により発生します。しかし、実際には選ばれやすい人に共通する特徴や、再現可能な行動パターンがあるのです。
この記事では、私自身が年8回のインボラを体験した実例をもとに、インボラの仕組みと成功するための「旅の戦略」をわかりやすく解説します。
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インボラとは?【インボランタリー・アップグレードの意味を解説】

「インボラ」とは何かをご存じでしょうか?
旅行好きの間では知られた言葉ですが、初めて耳にする方も多いかもしれません。
このパートでは、「インボラ」という言葉の正式名称や意味、そして他のアップグレードとの違いについてわかりやすく解説します。
インボラの正式名称とその意味とは?
「インボラ」は、航空業界で使われる略語で、正式には「インボランタリー・アップグレード(Involuntary Upgrade)」と呼ばれます。
意味はその名の通り、「自分の意思によらず、航空会社側の判断によって、上位クラスへ無料でアップグレードされること」。
たとえば、エコノミークラスが満席だった場合に、航空会社が一部の乗客をプレミアムエコノミーやビジネスクラスへ移すケースがあります。
これが「インボラ」、つまり航空会社の都合による“無料アップグレード”です。
日本では「インボラ」と略して使われていますが、英語圏では「Operational Upgrade(オペレーショナル・アップグレード)」や「Op-up」という表現が一般的です。
インボラアップグレードと有償アップグレードの違い
「アップグレード」と聞くと、追加料金を支払うか、マイルを使うイメージがあるかもしれません。
たしかに、一般的には以下の3種類のアップグレードがあります:
種類 | 概要 | 料金 |
---|---|---|
インボラ(Involuntary Upgrade) | 航空会社都合で無料アップグレード | 無料 |
有償アップグレード | 差額を支払ってアップグレード | 有料 |
マイルアップグレード | 保有マイルを利用してアップグレード | マイル使用 |
この中でもインボラは、乗客が一切リクエストをしていないのに“偶然”アップグレードされる特殊なケースで、まさに“旅のボーナス”とも言えます。
「インボランタリー」の意味と航空業界での使われ方
「インボランタリー(Involuntary)」とは、英語で「自発的でない/強制的な」という意味です。
航空業界では、以下のような用語に使われます:
- Involuntary Upgrade:航空会社の判断で無料アップグレード
- Involuntary Rebooking:欠航や遅延によって、別の便に強制的に振り替えられること
つまり、「インボラ」は乗客の意思とは関係なく発生する処置であり、選ばれた乗客にとっては“運命的なラッキーイベント”ともいえるのです。
ただし、このインボラにも一定の“選ばれやすい条件”や“発生しやすい航空会社”の傾向があることがわかってきています。
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インボラアップグレードはなぜ起こる?仕組みと背景
「インボラ(インボランタリー・アップグレード)」とは、エコノミーの航空券で予約していた乗客が、無料でビジネスクラスなどにアップグレードされる現象のこと。偶然の出来事のように思われがちですが、実はそこには航空業界ならではの“必然”とも言える理由があります。
オーバーブッキングと座席調整の実態
航空会社は、当日になって来ない乗客(ノーショウ)に備え、座席数以上の予約を受け付ける「オーバーブッキング(過剰予約)」という運用を行っています。
しかし予想に反して全員が搭乗すると、エコノミーが満席に。このとき、上位クラスの空きがあれば、数名の乗客を“無償で”アップグレードさせる必要が出てきます。これが「インボラ」と呼ばれる仕組みです。
では、一体どのような乗客が選ばれるのでしょうか?
当然、航空会社が具体的な基準を明かすことはありませんが、実際には「選ばれやすい人」の共通点があることが、数多くの体験談から見えてきています。
たとえば、上級会員(ステータス保有者)やマイル番号を事前に登録している人が優先されやすいことはよく知られています。また、一人旅・清潔感のある服装・穏やかな対応なども有利に働くという噂も?これは本当かどうかはわかりませんが。
とはいえ、それだけでは説明できない“もうひとつの視点”もあります。私自身が過去に複数回インボラされた経験をもとに、本当に選ばれる人の条件とは何か?を、以下のnoteで詳しく解説しています。
▶ インボラされやすい乗客の特徴や判断基準をもっと詳しく見る|note
JAL・ANAのインボラの現状は?
「JALやANAでインボラされた」という話は、実際にはあまり多くありません。これは決して偶然ではなく、日系キャリアならではの構造的な事情によるものです。
JALのインボラアップグレードの傾向と少なさ
JALでは、エコノミーからクラスJやビジネスクラスへのインボラは存在しますが、発生頻度は非常に限られています。背景には、上級会員が多いことや、オーバーブッキング自体をできる限り回避する運用方針があります。
ANAの国際線・国内線におけるインボラ事例
ANAも同様に、無料アップグレードが起きることはありますが、あまり多くはありません。とくに国際線では、エコノミー席の需給管理が緻密に行われており、インボラの余地が少ないのが実情です。
実はJAL・ANAは“狙いにくい”?その理由とは?
ANAやJALは、海外キャリアに比べて定時運航率が高く、運航上の混乱が少ないのが特徴です。さらに、日本発着便では競争率の高い上級会員が多数存在し、搭乗者の属性も安定しているため、航空会社が“救済措置”としてインボラを使う場面が少ないのです。
つまり、JALやANAはサービスレベルは非常に高い一方で、「インボラが発生しにくい環境」が整っていると言えるでしょう。
では、インボラを狙いたい場合はどうすればいいのか? 答えは、ズバリ「海外キャリアを戦略的に活用すること」です。
実際に筆者は、ターキッシュエアラインズやアシアナ航空などの海外キャリアで無料アップグレード(インボラ)を8回経験しています。しかも、マイルや高額なチケットを使わずにです。
その背景や、どのような基準で乗客が選ばれているのか、どうすれば再現性が高まるのかについては、以下のnoteに詳しくまとめています。
▶ 無料アップグレードを引き寄せる方法を詳しく解説|インボラ戦略noteはこちら
インボラは本当に「運」だけ?選ばれる人に共通する意外な特徴とは
ところでインボラは「運が良かった」と片付けられることもありますが、実際には運に加えて、いくつかの判断要素が影響していると考えられます。
たとえば同じ便でもアップグレードされる人とされない人がいます。その差を生み出す“見えない条件”として、以下のようなものがよくいわれています。
- 搭乗実績やマイレージステータス
- 予約ルート(直行便か乗継便か)
- 搭乗時期や空席調整のタイミング
- チェックイン時の身なりや応対
つまり、完全に「運」ではなく、インボラされやすい傾向にある人や行動パターンが実際に存在しているのです。
インボラされる条件とは?【実際に起きやすいパターンを解説】
ここでは、実際に「インボラされやすい」とされる具体的な条件や行動パターンについて解説します。あくまで傾向ではありますが、過去にインボラされた人たちに共通する要素がいくつか浮かび上がっています
ステータス・予約クラスなどの影響
多くの航空会社では、上級会員(ANAプラチナ、JALサファイアなど)が優先される傾向にあります。また、正規運賃での予約や、フレキシブルな予約クラスの方がインボラ対象になる可能性が高くなります。
インボラされやすいチェックインタイミングとは?
一般的には「早すぎても遅すぎてもダメ」とされ、出発の1〜2時間前(中盤のタイミング)でのチェックインが最も選ばれやすいともいわれます。出発直前ではすでに席の調整が終わっていることもあり、チェックインのタイミングが絶妙な影響を与えることがあります。ただ、これはあくまでも推測で今はコンピュータで選ぶのでほとんど関係ないといえるでしょう。
「清潔な服装」や「丁寧な応対」は?
SNSや旅行ブログでは「インボラされた」という報告が多数見られますが、その中には「清潔な服装」や「丁寧な応対」などが共通点として挙げられることもあります。
ただし、現在の航空業界ではインボラの選定は基本的に自動システム(DCS)によって行われており、服装や身なり、態度といった要素が直接的に影響することはほとんどないと思われます。
一方で、「上級会員ステータス」「予約クラス」など、実際に影響する“選ばれる要素”には明確な傾向があります。
私自身、年5回の海外旅行で“8回の無料アップグレード(インボラ)”を経験してきた中で、「これは偶然ではない」と確信する共通パターンがありました。
その再現性の高い戦略を、以下のnoteで詳しく解説しています👇
▶年5回の海外旅行で“8回無料アップグレード”―インボラ×上級会員の完全戦略ガイド
これがインボラの実例!往復で体験した“奇跡のアップグレード”
インボラ(無料アップグレード)は「運」だけだと思われがちですが、 私は2024年に6回のインボラを経験しています。
中でも特に印象深かったのが、2024年9月のロンドン旅行。 なんと、往復どちらもビジネスクラスにインボラアップグレードされたのです。
行き:イスタンブール → ロンドン|搭乗口での“予期せぬサプライズ”
2024年9月、イスタンブール空港。ゲートで搭乗券をタッチした瞬間、いつもと違う音が鳴り、係員の女性が微笑みながらこう言いました。「お席が変更になりました。こちらが新しい搭乗券です。」
手渡されたそれには、“BUSINESS CLASS” の文字が——。
新型機材の広々としたシート、囲いのあるプライベート空間。

ウェルカムドリンクに始まり、静かで上質な時間が流れていきます。

機内食もレストラン並みのクオリティ。彩り鮮やかな前菜から、煮込み料理、デザートに至るまで、まさに「空の上の美食体験」でした。

帰り:ロンドン → 羽田|まさかの“2回連続インボラ”
そして旅の終わり、帰国便でも同じ出来事が起こります。イスタンブールで乗り継ぎの際、搭乗券を提示した瞬間——
「お席、変更になっております」今度は搭乗券に手書きで新しい座席番号が。
「手書き!?」と驚きましたが、それがビジネスクラスへのインボラだったのです。
今回は羽田便のため機材は少し古めでした。

こちらはよくわからない前菜。味は美味しかったですよ。

こちらはメインデッシュです。

こちらデザートです。もちろんバクラヴァもあります。

ターキッシュエアラインズの気配りの行き届いたサービスに感動しました。
なぜ私は往復でインボラされたのか?
じつはこのとき、私は“偶然”に見えるインボラを引き寄せるために、いくつかの工夫をしていました。
・同行者と一緒の旅程でしたが、あえて予約を個別に分けた
・航空会社の傾向に合わせて、インボラ対象になりやすい便と座席を選んだ
結果として、行きと帰りの両方でビジネスクラスに無料アップグレード(=インボラ)されるという体験をしました。
これは単なるラッキーではなく、「選ばれやすい人」になるための準備と行動の積み重ねによる成果だと感じています。
私が実際にインボラされた8回の事例と、それを再現するための戦略をまとめたnoteはこちら👇
▶【体験談と戦略】無料でビジネスクラスにアップグレードされた方法を公開中|note
よくある誤解と注意点|インボラに関するFAQ
インボランタリーアップグレード(インボラ)は、航空会社側の都合で発生する稀なアップグレードであり、その選定基準や扱いは公表されていないため、多くの疑問や誤解が生じがちです。ここでは、インボラに関するよくある質問にお答えします。
- インボラはリクエストできる?
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いいえ、乗客からインボラをリクエストすることはできません。
インボラは、エコノミークラスのオーバーブッキング(予約の過剰受付)など、あくまでも航空会社側の都合によって発生するものです。そのため、乗客が自ら「アップグレードしてほしい」とお願いして受け入れられることはありません。
チェックインカウンターなどで交渉を試みる乗客もいるようですが、基本的には断られます。むしろ、過度な要求はかえって心証を損ねる可能性もあるため、避けた方が賢明です。「もし運が良ければ」くらいの気持ちで搭乗を待つのが良いでしょう。
- 特典航空券でもインボラされる?
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可能性はゼロではありませんが、優先順位は低いと考えられます。
インボラの対象者を選ぶ基準は航空会社によって異なり、公表されていません。しかし、一般的には以下の要素が考慮されると言われています。
- 航空会社の上級会員ステータス
- 予約クラス(航空券の価格が高い普通運賃など)
- 一人での搭乗者
- チェックインのタイミング
マイルで交換した特典航空券は、有償航空券に比べて優先順位が低くなる傾向があります。ただし、特典航空券の利用者であっても、航空会社の上級会員ステータスを保有している場合は、インボラの対象になる可能性は十分にあります。
- 断ったらどうなる?ラウンジやマイルの扱いは?
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断ることは可能です。マイルやステータスポイントの扱いは注意が必要です。
インボラを提案された際に、同行者と席が離れてしまう、元の座席にこだわりがあるなどの理由で断ることは全く問題ありません。その場合は、元の予約通りの座席が提供されます。
アップグレードを受けるか断るかによって、ラウンジやマイルの扱いは以下のように変わります。
- インボラを受けた場合
・ラウンジ:アップグレード後の上位クラスのラウンジを利用できるのが一般的です。
・マイル・搭乗実績(FOPなど):元の予約クラス(エコノミークラスなど)に基づいて積算されます。ビジネスクラスにアップグレードされたからといって、ビジネスクラス分のマイルが貯まるわけではない点に注意が必要です。 - インボラを断った場合
・ラウンジ・マイル等:すべて当初の予約通りの扱いとなります。元の予約でラウンジが利用できる資格があれば利用できますし、マイルも元の予約クラスに基づいて積算されます。
結論として、インボラはあくまで「航空会社からのお願い」であり、予期せぬ幸運です。その特性を理解し、過度な期待はせず、もし提案されたら快く受ける(または事情があれば断る)のがスマートな対応と言えるでしょう。
- インボラを受けた場合
【まとめ】インボラは誰にでも起きる?その確率と準備法
インボラ(無料アップグレード)は、単なる偶然の産物ではありません。実際には航空会社の運用システムや、選ばれやすい条件が背景にあり、ある程度の準備と理解があれば“再現可能な現象”でもあるのです。
私はこれまでの海外旅行で、年8回インボラされた実体験がありますが、それは運ではなく、戦略的な行動と各航空会社の傾向を踏まえた「旅のハック」によるものでした。
実際にインボラを狙うためには、以下のような視点が不可欠です:
- どの航空会社がインボラを出しやすいのか?
- どんな予約・行動が優先されるのか?
- 上級会員やステータスマッチはどのように影響するのか?
このようなインボラの“仕組み”と“狙い方”について、詳しくは以下のnoteで解説しています👇
▶ 無料アップグレードは“偶然”じゃない?インボラの裏にある仕組みとは|noteで読む
インボラの再現可能な行動パターン、航空会社ごとの傾向、ステータスマッチ活用法まで、現実的なインボラ戦略を一つにまとめた完全ガイドです。